少し昔の話
これは、今年10月よりも前に入っているキャラフレユーザには半ば当たり前のことでしたが…キャラフレのアバターエリアに立つキャラは、瞬きも口パクもしないのが当たり前でした。
キャラフレはブラウザ版がメインですから、どうしても主要ブラウザも気にしなければなりません。
しかも、主要OS(Windows、Mac OS、Android、iOS)ごとの主要ブラウザ(例えばGoogle Chrome、FireFox、Microsoft Edge、Safari、等)の内、例えばどれか1つにでも『この手の機能に乏しいブラウザ』が残っている限り、その機能による恩恵をキャラフレユーザ全員へと平等に行き渡らせることが出来ませんし、またスマホ用アプリも用意しているため、そのアプリでもキャラフレが表示出来なければなりません。
しかし、濱田社長はご自身のブログにて『iPhone 3Gでの動作も見据えていたため断念』とあるように、iPhone 3Gの性能の低さを鑑みて、この機能を実現したくても出来ない、とずっと判断されていたようなのです。
故に…キャラフレは開始以来7年もの長きに渡り、アバターは一枚絵みたいな状態になっていました。
ある日時からの話
ところが、10月12日(木)の夕方以降、こんな事が起きています(※着ぐるみを始め顔全面を覆うアクセ装着時等は除きます)。
- 大体、7~12秒に1回のペースで、アバターが瞬きします。
- 発言の長さに応じた時間分、口パクをしてくれます。
これは、ブラウザ版だけでなく、Androidアプリ版でも、にじよめ版でも確認しています。
なお、口パク途中は似通った表情が少ないのもあってか意図したものと一時的に異なる表情になる事もあるかも知れませんが、『口パクが終わるとキチンと指定した表情になります』。
ちなみに
前述した『この手の機能に乏しいブラウザ』(以降『前述したブラウザ』と表記します)が何なのか、ほぼ明示されている状態ですがそれはさておき──
もし仮に、それ向けの仕様で無理矢理に実装しようとすると、どうなるでしょうか。
ぼくの予測では、最悪…キャラフレが非常に重くなり、また通信容量もかさんで楽しめない状態になる、と見ています。
その理由を簡単に言うと、前述したブラウザ向けにアバターをGIFアニメに逐一作り直して送る以外になくなるから。
現状、キャラフレサーバは皆さんの行動を受け取ると、それを必要な人に必要なだけ反映させます。
例えば、今いる場所にとある誰かが通り掛かると、その方のアバターが指定されるので、ブラウザはそれを読み込んで表示させます。
ここでブラウザが表示する各自のアバター画像は、『着替え完了』及び『アクセサリ脱着』のタイミングで生成されているようです。 10秒ほど操作ができなくなりますのでこのタイミングだろうという推測できますが、この時に表情の画像も併せて一斉に作られている、と考えられます。
先述した濱田社長のブログ記事を見るに、スマホのスペック向上を受けて実装に踏み切っていることから、恐らくそのタイミングで生成した表情画像を毎秒数枚の速度で切り替える、というある種の力業で瞬きや口パクを表現しているのではないかと推測されます。
ところが、もしこれを前述したブラウザで強引に行う場合、その力業は実現出来ないので、別の手法を採らざるを得なくなります。
最も受け手の性能に左右されず、確実に表情に応じた瞬きや口パクを実現できる手法を考えると、最も解り良い手法は『アバターをGIFアニメで作る』ことになります。
ですが、これを行うとなると、皆さんの発言ごとに『各アバターの口パクや瞬きを含むGIFアニメを逐一作る』ことになるため、スパコンを借りてGIFアニメ制作を担当させる等しない限りそちらに性能の殆どを喰われ、結果サーバの反応が非常に遅くなり、とてもキャラフレを楽しめる状況ではなくなるでしょう。
しかも、一部の方は色とりどりのアバターが劣化する可能性も表れます…何故ならGIFアニメには『パラパラアニメ全体で使える色が256種類に制限される』という、今からしてみればキツい制限が来るからです。
使える色が256種類しかないとしても、それが例えば白~灰色~黒と言ったモノクロならまだ問題はないのですが、鮮やかなフルカラー(16,777,216種類以上ある色!)の中からわずかに256色、という制限のため、スパコンを借りたとしてプログラムにて色を選び間違えると途端にアバターがおかしな事に成り得ます、なのでそれが起きてもいいようコーデも白黒や肌色に近い色に集中してしまうことになったでしょう(これでは着飾る意味がなくなってしまいますね…)。
ちなみにキャラフレに於ける口パクや瞬きの場合、地肌、眉毛、目、口内の色がそれぞれ決め打ちされている関係で、GIFアニメにするとしても多く使って200色にギリギリ届かない色数で足りるのではないか、との推測が立ちますので、個人的には瞬き部分と口パク部分だけをGIFアニメで実装する方が通信容量を余り使わずに済みそうには感じました(但し、決め打ちされているとはいえその組み合わせ分作る必要があるので、作る側の労力はかなり掛かったでしょう)。
それを考えると、新たな画像を作るという労力抜きに瞬きと口パクを実現して見せた濱田社長の実装方法は、なかなかに見事なことなのです。
最後に
最後に、名誉のため付記しますが、iPhone 3Gは性能こそ取り上げてしまうと国産スマホW-Zero3に僅かにCPUの駆動速度で劣っていたりした(iPhone 3G:412MHz、W-Zero3:416MHz。 但しCPUが異なるためこれだけでの比較は無意味)ものの、日本国内に『スマホという名と在り方を一気に広めた牽引役』です。 登場当時はソフトバンク限定契約というところで悲喜こもごもあり、今では日本の3キャリア全てでiPhone系スマホの契約が出来るようになりましたが、当時のiPhone 3Gがなければ2009年の日本はまだスマホよりケータイの普及率が高かったかも、と思わせるほどに、当時の、そして今のぼくから見てもなお、未来への魅力を備えた機種でした。